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11. 暗号資産・仮想通貨の利益計算と確定申告

イントロダクション

この記事では、ビットコインの売却(使用)などにより利益が確定した時の利益計算の方法についてまとめています。

 

利益とされる取引(課税対象とされる取引)

・暗号資産を売却(日本円に換金)した場合
・暗号資産で商品を購入した場合
・暗号資産同士の交換を行った場合*
・暗号資産をマイニングにより取得した場合

*保有する暗号資産Aを他の暗号資産Bと交換した場合、暗号資産Aで暗号資産Bを購入したことになりますので、暗号資産Aの売却に係る損益を計算する必要があります。

 

個人の場合

利益の計算方法

個人の取引による利益の額は、そのビットコインの売却金額と、売却した暗号資産の取得価額(譲渡原価)の差額で計算されます。

<例示>

400万円(売却金額)ー100万円(取得価額)=300万円
※手数料は考慮していません。

取得価額の計算方法

2回以上にわたって取得した場合の暗号資産の取得価額(購入単価)の計算方法には、移動平均法と総平均法の2種類があります。

・移動平均法

暗号資産の購入の度に、その時点における平均単価で取得価額を計算する方法になります。

・総平均法

1年間に購入した暗号資産の平均単価で取得価額を計算する方法になります。

計算例:取引状況(単位:円)

①1月 買 @799,000 1BTC
②3月 買 @600,000 1BTC
③5月 売 @900,000 1BTC
④7月 買 @499,000 1BTC
⑤9月 売 @699,000 1BTC

<移動平均法>
・①の時点 処理なし
・②の時点で単価修正
{@799,000×1BTC+@600,000×1BTC}÷2BTC=@699,500
・③の時点の譲渡損益
⇒@900,000×1BTC-@699,500×1BTC=200,500
・④の時点の単価修正
{@699.500×1BTC+@499,000×1BTC}÷2BTC=@599,250
・⑤の時点の譲渡損益
⇒@699,000×1BTC-@599,250×1BTC=99,750

<総平均法>
・①の時点 処理なし
・②の時点 処理なし
・③の時点の譲渡損益
⇒@900,000×1BTC-@632,667*×1BTC=267,333
・④の時点 処理なし
・⑤の時点の譲渡損益
⇒@699,000×1BTC-@632,667*×1BTC=66,333
*{@799,000×1BTC+@600,000×1BTC@499,000×1BTC}÷3BTC=@632,666.66.→@632,667(1円未満切上げ)

このように、移動平均法は取得時に単価修正をし、総平均法は1年間の平均値で単価修正するという違いがあります。

 

法定評価方法

2019年度税制改正(令和元年度)において、個人の法定評価方法を総平均法とする旨が定められました。また、法定評価方法を変更したい場合には、所定の期限までに所轄税務署に変更申請書を提出する必要があります。

 

確定申告

個人の場合、暗号資産の取引で生じた年間利益(所得)が一定額あるときは確定申告をして納税しなければなりません。

・会社員など給与所得者の場合

サラリーマンなどの給与所得者で、年末調整済の場合は、暗号資産の取引で生じた年間利益(所得)が20万円を超えると確定申告しなければなりません。年末調整が完了していない場合で確定申告しなければならないときは、たとえ1円の利益であっても確定申告しなければならないので注意が必要です。

・フリーランスなど個人事業者の場合

確定申告しなければならない場合は、暗号資産の取引で生じた年間利益(所得)もあわせて確定申告することになります。

・専業主婦で他に収入がない場合

暗号資産の取引で生じた年間利益(所得)が48万円を超えると確定申告が必要になると考えられます。正確には、基礎控除、生命保険料控除や社会保険料控除など所得控除額の合計額を超える場合とされています。

実際には、様々な所得があって判断に迷うケースが多いと思います。そうした場合には税金の専門家に相談して判断するのが賢明です。

 

法人の場合

利益の計算方法

法人の取引による利益の額は、そのビットコインの売却金額と、売却した暗号資産の取得価額の差額で計算されます。

<例示>

400万円(売却金額)ー100万円(取得価額)=300万円
※手数料は考慮していません。

 

取得価額の計算方法

2回以上にわたって取得した場合の暗号資産の取得価額(購入単価)の計算方法には、移動平均法と総平均法の2種類があります。

・移動平均法

暗号資産の購入の度に、その時点における平均単価で取得価額を計算する方法になります。

・総平均法

1年間に購入した暗号資産の平均単価で取得価額を計算する方法になります。

 

法定評価方法

2019年度税制改正(令和元年度)において、法人の法定評価方法を移動平均法とする旨が定められました。また、法定評価方法を変更したい場合には、所定の期限までに所轄税務署に変更申請書を提出する必要があります。

 

確定申告

法人の場合、暗号資産の取引で生じた年間利益(所得)があれば、決算日から2か月以内に確定申告をして納税しなければなりません。

 

年間取引の利益計算ツール

・取引所の取引履歴データを利用

取引所の取引履歴(CSVファイルなど)をダウンロードして集めて計算するものですが、計算自体が複雑で大変な作業になります。

・年間取引報告書の利用

国税庁は、2018年に暗号資産交換業者に年間取引報告書の作成を義務づけ、暗号資産の計算書(エクセル)を公開しました。年間取引報告書に記載された項目のデータを暗号資産の計算書(エクセル)の該当箇所に転記入力することで、簡単に所得金額が計算できるようになりました。しかし、海外の取引所を利用している、コールドウォレット*も利用している、移動平均法で計算したいといった場合などは、暗号資産の計算書(エクセル)では対応できないので、注意が必要です。

*ホットウォレットとコールドウォレット

暗号資産の情報は秘密鍵で守られていますが、ホットウォレットはインターネットにつながったオン環境で秘密鍵を保管し、コールドウォレットはインターネットから切り離されたオフ環境で保管しています。

ホットウォレット
ホットウォレットには、暗号資産取引所のマイページなどオンライン上で管理するウェブウォレットや、スマートフォンに専用アプリをインストールして管理するモバイルウォレットがあります。

コールドウォレット
コールドウォレットには、専用端末をUSB接続し秘密鍵を管理するハードウェアウォレットや、秘密鍵とビットコインアドレスを紙に印刷して保管するペーパーウォレットがあります。

・暗号資産計算アプリの利用

国税庁の暗号資産の計算書(エクセル)では対応できない場合、計算アプリを利用するという方法もあります。CryptoLink、Cryptact、Gtaxなどといったサービスがあります。基本的には有料となっていますが、お試しで無料利用(制約条件あり)も可能です。

 

また、イーサリアムなど他の仮想通貨の考え方も同様です。

 

■参考

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

 

 

■YouTube


www.youtube.com

 

■初心者向け

ひとり投資会社のつくり方

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