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マンション投資の法人税務①

【準拠:平成30年4月1日現在法令等】

不動産の保有会社で、区分所有マンションを購入した場合の税務処理はどうなるのでしょうか?
 
簡単な計算例を使って説明したいと思います。
 
(会社情報)
・9月末日の年1回決算法人
・消費税免税事業者
 
(物件情報)
・居住用区分所有マンション
・専有面積:20㎡(約6坪)
・築年数:1981年11月
・購入時期:2015年10月(築後34年)
 
(前提条件)
①物件本体価格;400万円(税抜き)+24万円(建物消費税)=424万円
≪本体価格の内訳:建物部分300万円(税抜き)、敷地利用権部分100万円≫
②購入諸費用
・登録免許税(売買:建物部分2%、土地部分1.5%)
・不動産取得税(4%、宅地部分については1/2の上税率3%)
・印紙税1,000円(売買金額500万円以下)
③ローンで購入した場合の費用
・借入金利子
・団体信用生命保険料
④収入項目
・家賃収入;月額4万円
≪内訳:住居家賃3.2万円、共益費0.3万円、駐車場0.5万円≫
⑤支出項目
・固定資産税(1.4%)・・・宅地部分は居住用特例あり1/6
・都市計画税(0.3%)・・・宅地部分は居住用特例あり1/3
・管理費5,000円
・修繕積立金3,000円
・火災保険料(掛け捨て型)年10,000円程度
 
<不動産所有法人での処理例>

(1)不動産購入時
①会計処理
 ・購入時
(投資不動産*)424万円(現預金)424万円
*補助科目で建物部分324万円、敷地権部分100万円と区分しておくとよいです。
※購入諸費用を取得価額に算入して、減価償却していくこともできます。

 ㊟購入諸費用は原則として取得価額に含めますが、費用にもできます。
ここでは費用処理したものと仕訳します。
(租税公課)××(現預金)××
(火災保険料)××

・ローンで購入した場合は借入利息や団信保険料が生じます
(現預金)×× (長期借入金)××
(支払利息*)××(現預金)×××
(団信保険料)×
*支払利息は前払いのケース

仮に購入時に修繕積立基金(一時金)の支払があれば、その金額は建物部分の取得価額に含めて減価償却する方法が望ましいと考えます。

(2)賃貸運用時
①会計処理(毎月)
・賃料入金時
(現預金)4万円(家賃収入)3.2+0.3=3.5万円→非課税売上げ
         (駐車場収入)0.5万円→課税売上げ
・管理費等支払時
(管理費)5千円→不課税仕入れ (現預金)8千円
(修繕積立金)3千円→不課税仕入れ
・借入金の毎月返済時
(長期借入金)×× (現預金)×××
(支払利息)× 

②会計処理(随時)
・固定資産税・都市計画税は賦課決定日において全4期分をすべて費用計上できます。
(租税公課)×× (現預金)××
・損害保険料の支払い時
(火災保険料)× (現預金)×

一見難しく見えますが、毎月の処理はほとんど同じものなので、慣れてくると難なくできるようになります。

次は月次決算と譲渡時の処理、そして、その後の項で運用面を考えたいと思います。

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: 太陽光&不動産ビジネス編

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