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小規模企業共済制度の活用

小規模企業共済制度とは

個人事業主や会社経営者が節税するにあたって、まず検討される商品が「小規模企業共済」です。

節税しながら、自身の将来の退職金や年金が準備できるためです。

この商品は、経営者の退職後のゆとりある生活を応援するもので、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。つまり、国が全額出資する機構が運営しており安心な制度といえるでしょう。

主な特色は次のとおりです。

①全国で約120万人の経営者が加入しています。

※昭和40年発足で長年の実績もあります。

②掛金は全額所得控除できます。(個人が掛金全額を負担します。)

※最高:年84万円(平常)

※掛金は契約者個人の収入から負担するため、事業上の経費とはなりません。

③月額1,000円~70,000円の範囲(500円単位)で自由に選択できます。

※中途の増減額が可能です。

※払込み方法も「月払い」「半年払い」「年払い」から選べます。

④共済金の受取方法には、一括・分割・併用の3タイプがあります。

⑤共済金は、退職・廃業時等に受取りできます。満期や満額はありません。

※会社等役員で65歳以上で役員を退任する方は、180か月(15年)以上掛金を納付した65歳以上の方(老齢給付の要件を満たす方)と同じ水準の共済金が受け取れます。

⑥受取時にも、税優遇されています。

※一括受取は「退職所得」扱い、分割受取は「公的年金等の雑所得」扱いとなります。

※ただし解約手当金は「一時所得」扱いとなり、加入後240か月(20年)未満の解約は掛金合計額を下回ってしまいます。

⑦災害時や緊急時には契約者貸付けが利用できます。

※納付した掛金合計額の範囲内で無担保・無保証で貸付が受けられます。

なお、初年度は、1年分前納することで、小規模企業共済等掛金控除が大変有利に活用できます。

㊟前納の考え方

例えば、平成28年10月に1年分前納すれば、平成28年において掛金全額が所得控除されます。

しかし例えば、平成28年10月に2年分(実際は13か月以上の期間分)前納しても、平成28年においては平成28年中の期間掛金(3か月分)しか所得控除がされないので、上手な掛け方とはいえません。

なお、この場合には、平成29年に12か月分、平成30年に9か月分が充当控除されることになります。

また、加入できるのは、文字通り、小規模企業(常時使用する従業員が20人以下<宿泊業・娯楽業を除くサービス業、商業では5人以下>)の個人事業主(㊟共同経営者含む)と会社経営者に限定されます。

㊟共同経営者とは、事業主とともに経営に携わっている方で、①事業の経営において重要な意思決定をしている、または事業に必要な資金を負担している、かつ、②事業の執行に対する報酬を受けている方をいいます。

通常は、個人事業主の専従者である配偶者や息子さんなどが該当します。(平成23年1月から個人事業主1人につき2人まで加入可)

なお、事業主と共同経営者とは血縁関係や婚姻関係、また、事業主が小規模企業共済制度に加入しているかどうかは問いません。

加入するメリットがあれば、賢く活用しましょう。

中小企業経営と節税のエッセンス: 平成30年度版

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