ひとり投資会社を法人として経営する場合、個人とは異なり、会社法や法人税法などの法規制を受けることになります。
そのため投資会社を運営すると、さまざまな帳簿や書類を作成しなければならず、必要に応じて登記や社会保険など各種書類も作成しなければなりません。
会社法では決算報告義務があり、法人税法では、青色申告法人であれば、複式簿記により会計帳簿を作成し、確定決算に基づく法人税の税務申告が必要になります。
また、地方税法により都税(県税や市税)の税務申告が、許認可の必要な業種であれば所轄官庁へ一定の報告書の提出などが求められます。
ここでは、会社運営上、日常的に必要な項目についてみておきます。
(1)経理事務
一昔前は会計帳簿をいろいろとこしらえる必要がありましたが、現在では「会計ソフト」を使って仕訳入力すれば、自動的に必要な帳簿が作成されます。大変便利な時代となりました。※クラウド会計も便利です。
実際は、経理事務まで手が回らないといった会社も多く、その場合は記帳事務を税理士事務所や会計事務所に外注することになります。
(2)決算書作成
「決算書」には「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書(合同会社の場合は社員資本等変動計算書)」「個別注記表」が含まれます。
会社法では、これ以外に「事業報告書」や「附属明細書」を作成することになっていますが、実際に作成しているひとり投資会社はほとんどありません。
ちなみに、株主が多数いる大規模会社は株主総会を開催するところが多いため、これらをきちんと作成しています。
なお、会社法では、決算公告義務を課していますが、こちらも大規模会社を除いて、実際に公告しているところはほとんどありません。罰則がないためなのでしょうか、、、
※ちなみに合同会社には決算公告義務はありませんので、義務違反とはなりません。
(3)税務申告
法人は、決算日の翌日から原則として2か月以内に法人税の申告書を税務署に提出しなければなりません。
同様に、都税事務所、県税事務所や市役所にも地方税(法人都(県)民税・法人事業税・法人市民税)の申告書を提出します。
一方、ひとり投資会社の投資活動に関する取引は消費税の課税取引には該当しないため(非課税取引や不課税取引に該当します。)、どんなに証券取引額が多くても、課税売上高が1,000万円を超えることはありません。
そのため、消費税の課税事業者には該当せず、消費税の申告は不要です。
また、とりわけ地方税の税金計算は国税の法人税の申告データを基にしているため、法人税の税金計算が最も重要となります。
そしてこの法人税の税金計算が、非常に難解というか分かりづらく、一般の納税者には困難なものになっています。
しかし、申告納税は義務であるため自力でできなければ、通常は税務申告を税理士事務所へ外注することになります。
もし、自力で税務申告をしたければ、1~2年は外注して申告書を作成してもらい、申告書の会社控から作成要領が分かるようになったら自社で作成してみるのがよいでしょう。
同じ事業を継続している限りは、必要な申告書の型(パターン)はあまり変わりません。基本的には数字が変わるだけです。
このように、法人で投資活動を行うと面倒なこともでてきますが、逆に会社経営をしているから経験できる貴重なイベントでもあるのです。
視野が広がるというのは自分自身の成長にもつながるはずです。
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