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2. 暗号資産・仮想通貨の概要と特徴 ②(アルトコイン)

イントロダクション

アルトコインとは、一体どのような仮想通貨*なのでしょうか?

この記事では、アルトコインの概要やビットコインとの違い、国内で取引されている主要なアルトコインをご紹介します。

*2019年5月に成立した改正資金決済法で、通貨とは明確に区分するため、「仮想通貨」から「暗号資産(クリプトアセット・Crypto Asset)」に改称されていますが、引き続き「仮想通貨」という名称を使っていることが多くあります。

 

アルトコインの概要

アルトコインの通貨特性をまとめています。

① アルトコインとは、オルタナティブコイン(Alternative Coin)の略で、オルタナティブは「代替の」という意味があります。つまり、アルトコインとはビットコインの代替コインのことで、ビットコイン以外のすべての暗号資産を表す言葉です。

② ほとんどのアルトコインはビットコインの技術をベースにしたものなので、根本的な仕組みはビットコインと変わりません。しかし、アルトコインはビットコインの問題点を解決する機能を持っていたり、開発の目的が違ったりと、それぞれのコインごとに異なる点や特徴を持っています。

③ アルトコインはかなり多くの種類が存在し、その数は2,000種類以上とも言われ、年々増加しています。ただし、アルトコインの中で相当の価値があるものはわずかにすぎません。

 

アルトコインの特徴(ビットコインとの違い)

アルトコインとビットコインの違いは、大きく分けて3つあります。

① 時価総額
暗号資産は需給によって、価格変動します。知名度が高く、保有者も多いビットコインは需要が高いので、時価総額が最も高い暗号資産になっていますが、アルトコインはそれほどでもありません。

② 流動性
ビットコインに比べアルトコインの需給は少ないので、流動性も低くなり、換金性も劣ってしまいます。

③ 取引所数
ビットコインは世界中の取引所で取り扱われていますが、アルトコインは限られた取引所で取り扱われることが多く、取り扱い自体のない取引所も少なくありません。

 

アルトコインへの投資

アルトコインへの投資は、ビットコイン以上に注意すべき点があります。

① アルトコインは、一般的にビットコインよりもボラティリティが高く、発行されてからすぐに消えてしまうコインもあれば、短期間で価値が急騰するコインもあります。
② 市場規模が大きくなり、時価が高くなったビットコインに比べ、成長性や投機性を見込んでアルトコインに投資するケースも増えているようです。ただ、アルトコインの将来性を見極めるためには、ビットコインとの違いをしっかり理解することが重要です。
③ アルトコイン開発のために、ICOという資金調達方法が採られることがありますが、ICO案件には詐欺案件も多いため、ホワイトペーパーと呼ばれる資料でコインの特徴や機能をしっかりと把握する必要があります。

ちなみに、執筆者の関連会社であるアセットミックスは投資会社として、主に株式投資を行っていますが、貴金属や穀物などのコモディティ(商品)クラスの拡張資産として、暗号資産にも投資しております。あくまで資産の分散投資と情報収集を目的にしていますので、少額の投資となります。

注)実際の投資は自己責任のもとで行ってください。

 

アルトコインの主要通貨例

多数あるアルトコインの中から、国内で取り扱いのあるメジャーな17種類をご紹介します。

イーサリアム(ティッカーコード:ETH)

① イーサリアムの通貨単位は、ETHである。
② 発行枚数に上限はない。(発行者 無)
③ 特徴
・Vitalk Buterinにより2013年に考案されたプロジェクトでできた暗号資産
・時価総額は2位
・「スマートコントラクト」という独自技術を採用しており、取引で行われる契約を自動的に保存し、契約の実行内容がネットワーク上に保存される。

イーサリアムクラシック(ETC)

① イーサリアムクラシックの通貨単位は、ETCである。
② 発行枚数上限は、2億1,000万枚(発行者 無)
③ 特徴
・イーサリアム上に作られたあるサービスのハッキングにより、巨額資金が盗まれるという事件が起き、その事件をきっかけに生まれた暗号資産
・イーサリアムと機能的な違いはほとんどないが、独自機能も継続的に追加されている
・イーサリアムとの差別化のため、IoT分野での利用に力を入れている。

リップル(XRP)

① リップルの通貨単位は、XRPである。
② 発行枚数上限は、1,000億枚(発行者 Ripple, Inc.)
③ 特徴
・2005年に運用開始
・「リップル」は暗号資産の名称だけでなく、リップル社がの電子決済システムのことも意味している。電子決済に特化したプラットフォームで、最短4秒で決済完了可。
・国際送金が低コストにより可能で、ブリッジ通貨としての機能のほうが注目されている。

ビットコインキャッシュ(BCH)

① ビットコインキャッシュの通貨単位は、BCH、BCCである。
② 発行枚数上限は、2,100万枚(発行者 無)
③ 特徴
・2017年、ビットコインが抱える適応能力の問題を改善するためにハードフォーク(システムの仕様変更)によって誕生した暗号資産
・取引データを書き込める容量を拡大することで、データ処理速度を速め、取引速度や送金速度を速めている。
・送金手数料が安く、使い勝手が注目されている。

ライトコイン(LTC)

① ライトコインの通貨単位は、LTCである。
② 発行枚数上限は、8,400万枚(発行者 無)
③ 特徴
・ビットコインが暗号資産(仮想通貨)という概念を具体化したものであれば、ライトコインは実用性を高めるために作られた暗号資産
・ビットコインと共通点が多く、ビットコインは「金」、ライトコインは「銀」とたとえられる。
・高速送金が可能な「ライトニングネットワーク」を導入することができる。

ネム(XEM)

① ネムの通貨単位は、XEMである。
② 発行枚数上限は、90億枚(発行者 NEM Foundation)
③ 特徴
・ネム(NEM)の名称は「New Economy Movement」からつけられた。国や政府にとらわれない新しい経済の枠組みを目指す動きという意味
・決済システムの利用ではなく、機会の公平性や富の分散、自由な取引を目的として開発されている。
・取引の承認時間は約1分と速い。

モナコイン(MONA)

① モナコインの通貨単位は、MONAである。
② 発行枚数上限は、1億512万枚(発行者 無)
③ 特徴
・日本最大の匿名掲示板である5ちゃんねる(元2ちゃんねる)から誕生した初の国産暗号資産
・送金の速さや手数料の安さに特徴
・オンライン上の少額取引で利用する目的で開発されているため、クリエイターへの投げ銭なので活用される。

 

リスク(LSK)

① リスクの通貨単位は、LSKである。
② 発行枚数に上限はない(発行者 無)※Lisk Foundation(初期の発行分のみ)
③ 特徴
・リスク(Lisk/LSK)はブロックチェーンアプリケーションプラットフォームです。 2016年5月に誕生しました。 厳密にはプラットフォーム名が「Lisk」、通貨単位が「LSK」となります。
・リスクが目指しているプラットフォームは機能的な面での柔軟性が高く、開発の自由度が大きいという点が特徴です。
・メジャーなプログラミング言語(JavaScript)を使うことによって、多くのプログラマーが開発に参加できる仕組みになっています。

ベーシックアテンショントークン(BAT)

① ベーシックアテンショントークンの通貨単位は、BATである。
② 発行枚数上限は、15億枚(発行者 Brave Software,Inc.)
③ 特徴
・BAT(Basic Attention Token)は、Webブラウザ『brave』で利用される独自トークンです。
・BATはWebブラウザ『brave』上で利用されますが、『Brave』上では、chromeやFirefoxのようなブラウザとは異なり、広告がデフォルトでブロックされます。
・ユーザーが興味のある広告を自分で見ることを選択した場合に、報酬としてBATを受け取ることができる仕組みです。

ステラルーメン(XLM)

① ステラルーメンの通貨単位は、XLMである。
② 発行枚数上限は、500億枚(発行者 Stellar Development Foundation)
③ 特徴
・ステラルーメンは2014年に、リップルの開発者の一人でもあるジェド・マケーレブ氏が中心となって開発された仮想通貨です。
・ステラルーメンは、「新興国における個人間の送金取引を、円滑におこなえるようになること」を目的として開発されました。
・ステラルーメンは「ブリッジ通貨」と呼ばれ、「送金速度が速く、送金コストも安い」という特徴を持ちます。

テゾス(XTZ)

① テゾスの通貨単位は、XTZである。
② 発行枚数に上限はない(発行者 Tezos Foundation)
③ 特徴
・テゾス(Tezos)とは、スマートコントラクトやDapps(分散型アプリケーション)の開発・利用に適した性能を持つブロックチェーンプラットフォーム、およびそこで使われる仮想通貨のことです。
・テゾスは、ネットワークを2 つの異なるブロックチェーンにフォークさせることなく自身をアップグレードできる自己改訂機能を備えています。

ファクトム(FCT)

① ファクトムの通貨単位は、FCTである。
② 発行枚数に上限はない(発行者 Factom Foundation)
③ 特徴
・ファクトムは、アメリカにあるFactom社が、2015年に開発をした分散管理型プラットフォームの総称です。
・このプラットフォーム上では2つの通貨(ファクトイド(FCT)とエントリークレジット(Entry Credit))が利用されています。
・取引所で主に取引されるのは、ファクトイド(FCT)になります。

クアンタム(QTUM)

① クアンタムの通貨単位は、QTUMである。
② 発行枚数に上限はない(発行者 Qtum Foundation)
③ 特徴
・クアンタムとは、オープンソースブロックチェーンを使用した匿名性の高い仮想通貨です。
・ビットコインとアルトコイン(イーサリアム)の仕組みを複合して作られた通貨となるため、2つの特徴を持っています。

アイオーエスティー(IOST)

① アイオーエスティーの通貨単位は、IOSTである。
② 発行枚数上限は、約900億枚(発行者 Internet of Service Foundation Ltd. (IOS Foundation Ltd.))
③ 特徴
・IOSTはインターネットオブサービストークン(Internet of service token)を省略している
・IOSTはスケーラビリティ問題を解決するため、効率分散型シャーディングと呼ばれる技術を用いています。

エンジンコイン(ENJ)

① エンジンコインの通貨単位は、ENJである。
② 発行枚数上限は、10億枚(発行者 Enjin Pte Ltd.)
③ 特徴
・Enjin Coin(エンジンコイン)は、オンラインゲーム内のコミュニティ作成プラットフォームEnjin内で利用できる暗号資産(仮想通貨)です。
・Enjinでは非代替性をもつデジタル資産「NFT」を作ることできます。

オーエムジー(OMG)

① オーエムジーの通貨単位は、OMGである。
② 発行枚数上限は、約1億4024万枚(発行者 OMG Network Pte. Ltd.)
③ 特徴
・イーサリアムを基盤として、低コスト・高速処理・安全を目指し開発されたネットワークの運用に使用される暗号資産(仮想通貨)です。
・OMGは送付遅延や送付手数料が高騰するスケーラビリティ問題の解決に取り組んだOMG Networkで発行されたトークンです。
・OMG Networkは、ステーブルコインやDEX(分散型取引所)、DeFi(分散型金融)など、様々な分野のプロジェクトで利用されています。

ポルカドット(DOT)

① ポルカドットの通貨単位は、DOTである。
② 発行枚数上限は、10億枚(発行者 Web3 Foundation)
③ 特徴
・複数の異なるブロックチェーン間の相互接続を可能にするブロックチェーンプロジェクトです。
・様々なタイプのデータや価値の交換を可能にする相互運用性を、中心となるリレーチェーンに加えて、パラチェーンと呼ばれる並列する複数のブロックチェーンで実現しています。
・ブロックチェーンを並列して運用することでスケーラビリティ問題を解決し、パラチェーンのセキュリティ機能をリレーチェーンにプールすることによって安全性を高めています。

 

参考:トークン

Palette Token(PLT)

① パレットトークンの通貨単位は、PLTである。
② 発行枚数上限は、10億枚(発行者 株式会社Hashpalette)
③ 特徴
・Ethereumネットワーク上に発行されたERC20トークン
・2021年7月1日にコインチェック株式会社にてInitial Exchange Offering (IEO)を実施。2億3千万PLTが投資家保有分としてIEOにて販売された。

 

参考:ステーブルコインとは

ステーブル*コインとは、法定通貨などに価値を固定する暗号資産のことをいいます。市場から一定の信任を得ている法定通貨を裏付け資産とすることで、価格の安定性や、いつでも法定通貨と交換できるという信頼性があります。

また、法定通貨への両替の必要がないので、全世界でボーダレスな決済手段、つまり、国際通貨としての利用価値が見込まれます。

例えば、ステーブルコイン市場のシェア80%を占めているUSDT(テザー)や米国フェイスブックが発行体となるDiem(ディエム)(旧称:Libra(リブラ))などがステーブルコインになります。

*Stable(ステーブル)…安定した、という意味

なお、CBDC(Central Bank Digital Currencyの略)とは、各国中央銀行の発行するデジタル通貨のことをいいます。価格は自国の法定通貨と1対1で固定されます。中国が発行を検討している「デジタル人民元」がその代表例。我が国の日本銀行も調査研究を行っています。

 

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■参考

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

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■初心者向け

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