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3. 暗号資産・仮想通貨の概要と特徴 ③(トークン)

イントロダクション

トークンとは、一体どのような仮想通貨*なのでしょうか?

この記事では、トークンの概要や暗号資産との違い、トークンを活用したICOやIEO、最近話題のNFTやSTOをご紹介します。

*2019年5月に成立した改正資金決済法で、通貨とは明確に区分するため、「仮想通貨」から「暗号資産<Crypto Asset(クリプト・アセット)>」に改称されていますが、引き続き「仮想通貨」という名称を使っていることが多くあります。

 

トークンの概要

トークンには、しるしや象徴といった意味があり、そこから派生して代用貨幣という意味を持ちます。つまり、トークンとは法定通貨の代わりとして商品の購入やサービスを受けるために利用できるものを指します。具体的には、Amazonポイントや楽天ポイントといったポイントサービス、電車を利用できる交通系IC、お店のスタンプカードなどもトークンということができます。

 

トークンと暗号資産の違い

暗号資産でも商品の購入やサービスに利用できるという点では、暗号資産もトークンも同じですが、暗号資産の世界では、両者に一定の違いを設けています。

① 暗号資産
ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、それぞれ独自のブロックチェーンを持っています。また、発行者や管理者がいないものとされます。

② トークン
既存のブロックチェーン技術を利用する形で発行された通貨のことを指します。つまり、トークンは既存の暗号資産プラットフォームのシステムを間借りしている形のため、独自のブロックチェーンを持っていません。また、企業や団体・個人が発行するため発行者や管理者が存在するものとされています。

 

トークンの特徴

トークンの特徴として、トークンは企業や団体・個人などで発行できることがあります。たとえば、株式を上場させる場合には証券会社などの支援が必要ですが、トークンは金融仲介業者を介さず発行することができるため、資金調達をしたい企業やプロジェクトなどが、その手段としてICO*を通じて独自のトークンを発行したりします。一般的に、ユーティリティ・トークンと呼ばれるものです。

*ICO...「Initial Coin Offering(イニシャル・コイン・オファリング)」の略称で、一般に、企業やプロジェクト等がトークンと呼ばれるものを電子的に発行して、公衆から法定通貨や暗号通貨の調達を行う行為の総称とされています。

参考:NFT(ノン・ファンジブル・トークン)とは

「NFT」とは「Non-Fungible-Token (ノン・ファンジブル・トークン)」の略称で、イーサリアム上で発行された唯一無二(代替性のない)のトークンとされています。

現在、ブロックチェーンゲームでのゲームアイテムやクリプトアートさらには証明書のようなものなど多岐に渡って活用されています。

NFTには、他のトークンにはない代替不可能という特徴があります。それにより、NFTは固有の価値を証明することが可能になり会員権や不動産の所有権証明や売買が実現するなど、ブロックチェーンの利用シーンを広げることが可能となります。

 

トークンへの投資:ICO(イニシャル・コイン・オファリング)

トークンへの投資は、極めてリスクが高く、暗号資産の中で最も注意して行う必要があります。

①  ICOはIPO*と違って特段の審査を受けることなく、簡単に資金を調達することができるため、悪質な発行者が紛れ込む可能性も少なくありません。魅力的なプロジェクトのように見せかけて、資金調達後に姿を消してしまうといった詐欺案件も多発しています。
*IPO...Initial Public Offeringの略(IPO、イニシャル・パブリック・オファリング)は、一般に新規公開株式を意味し、新規に上場する企業が株式を発行して市場から資金調達する方法のことをいう。

ICOによる資金調達方法はIPOのようなイメージではなく、インターネットで資金調達を行うクラウドファンディングに近いイメージです。
② 仮に投資したプロジェクトが詐欺的なものでなくても、計画通りにプロジェクトが進まなかったり、プロジェクト自体が途中で中止になってしまい、トークンの価値が無価値になってしまう可能性もあります。
③ 日本で実施されるICOは、法整備がまだ追いついていないため、万が一トラブルに巻き込まれても法的な救済は受けられず、自己責任で終わることが多いようです。

ちなみに、執筆者の関連会社であるアセットミックスは投資会社として、主に株式投資を行っていますが、貴金属や穀物などのコモディティ(商品)クラスの拡張資産として、暗号資産にも投資しております。ただ、今のところ、トークンに投資することは考えておりません。

参考:ICOへの投資ステップ

ICOに投資し、トークンを購入するためには、次の5つのステップがあります。

① どのICO案件に投資するかを決める
投資するプロジェクトが信用できるものか、発行者は信頼できるかなど、発行元のサイトや掲載情報、ホワイトペーパーなどを確認する必要があります。ICO投資が成功するかどうかは、この案件選びが最も重要になります。

② 投資用の暗号資産を購入する
ICOのトークンを購入するための支払いは、基本的にビットコインやイーサリアムで行われることが多いため、支払い用の暗号資産を用意する必要があります。

③ トークン専用のウォレットを作成する
トークンを受け取るためのウォレットを作成しておきます。暗号資産取引所のウォレットではなく、トークンに対応しているウォレットを作成する必要があります。

④ 投資用の暗号資産を送金する
ウォレットの作成が完了したら、指定されたアドレス宛に暗号資産を送金します。アドレス間違いには十分注意します。

⑤トークンを受け取る
暗号資産を送金すると、決められた期日にトークンが送られてくるので、そちらを受け取りICOの一連の手順は完了です。あとは値上がりを期待して、そのまま保管しておくことになります。なお、トークンによっては、企業や団体などのサービスを受けることができます。

注)実際の投資は自己責任のもとで行ってください。

 

IEO(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)とは

「IEO」とは、「Initial Exchange Offering(イニシャル・エクスチェンジ・オファリング)」の略称で、企業やプロジェクト等がユーティリティ・トークンを電子的に発行することで資金調達を行う仕組みであるICO(Initial Coin Offering)の中でも、暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査、およびトークン販売を行うモデルです。

ICOではトークン発行元と投資家がダイレクトで繋がっていましたが、IEOではその仲介に取引所が入ります。

IEOでは、ICOの課題となっていたプロジェクトの実現性などについても販売を委託された暗号資産取引所が審査を行うため、トークン発行元である企業およびプロジェクトに対して、一定の信頼性を担保できるとされています。

日本では、2021年7月1日にコインチェックが国内初のIEOとなるPalette Token(PLT)を販売したことで話題になりました。

 

STO(セキュリティ・トークン・オファリング)とは

STOとは「Security Token Offering(セキュリティ・トークン・オファリング)」の略称で、ブロックチェーン上で発行されたトークンを用いた資金調達方法のことを指します。ここでいうセキュリティは「証券」という意味であり、STOは「有価証券の機能を付与されたトークンによる資金調達」ということになります。株や債券などといった有価証券と同等の法規制が適用されることからセキュリティートークンはデジタル証券とも呼ばれています。

※日本では2019年5月施行の改正金融商品取引法によりセキュリティトークンは「電子記録移転権利」と規定され(金商法2条3項)、金融機関での取り扱いが可能になりました。なお「暗号資産(仮想通貨)」とは区別されます。

STOはこうした株式や債券などの上場取引、さらにはクラウドファンディングに次ぐ新たな資金調達手法として、起業家や事業者および新たな投資機会を探る投資家の双方から期待されています。

※セキュリティトークンの発行による資金調達(STO)は、IPOやICOと比較されることが多いですが、実行しやすさとしては、「ICO以上、IPO未満」と考えられています。

 

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パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

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