法人投資家サロン

株式・不動産・暗号資産の法人投資家向けブログ

5. 暗号資産・仮想通貨の会計処理

イントロダクション

日本では、仮想通貨はあまり受け入れられていないようですが、少量であれば保有している会社があるかもしれません。

もし法人として保有する場合、「仮想通貨」の会計処理は一体どのようになるのでしょうか?

この記事では、仮想通貨のビットコインを題材にして考えたいと思います。

※1ビットコイン(BTC:円建て本体価格)を50,000円で購入、時価60,000円の時に売却・交換・採掘という前提にしています。

 

ビットコインの購入時

国内における時価(本体価格)50,000円のビットコインの購入取引

これを仕訳でみると、
(仮想通貨‐BTC‐)50,000/(現金預金)50,000
となります。

※中長期の資産運用目的であれば、貸借対照表の「投資その他の資産」の部に「投資仮想通貨(投資暗号資産)」勘定を設けて処理すればよいでしょう。

また、仮想通貨を複数(種類)所有する場合、補助科目(例えばビットコイン、BTCなど)を設定すると管理しやすいと思います。

 

ビットコインの売却時

国内における時価(本体価格)60,000円のビットコインの売却取引

これを仕訳でみると、

(現金預金)60,000/(仮想通貨‐BTC‐)50,000
         /(仮想通貨売却益)10,000

となります。

※売却…日本円、US$等に換金

 

ビ ットコインと商品・サービスとの交換時

国内における本体価格60,000円のビットコインと商品・サービスとの交換取引

これを仕訳でみると、

(商品orサービス)55,556/(仮想通貨‐BTC‐)50,000
(仮払消費税等)  4,444/(仮想通貨交換益)  10,000

となります。

ビットコインを使って商品やサービスと交換できるようなので、その場合には上記の処理となります。

取得価額の計算

実際は、ビットコインを複数回購入して、その一部を売却・交換する場合が多いと思います。

その場合、ビットコインの単価計算はどうすればよいでしょうか?

法人においては、法定評価方法が移動平均法とされていますので、基本的に「移動平均法」によって算定します。なお、法定評価方法を変更(総平均法)したい場合には、変更承認申請書を提出することになります。

㊟「商品有高帳」や「有価証券台帳」みたいに「仮想通貨台帳」を備えて記帳するとよいでしょう。

 

ビットコインの採掘時(マイニング)

マイニングにより暗号資産を取得した場合、その取得価額に相当する金額の収益(時価)については、所得の金額の計算上益金の額に算入され、マイニングなどに要した費用については、所得の金額の計算上損金の額に算入されます。
なお、マイニングなどにより取得した暗号資産の取得価額は、暗号資産を採掘により取得した時点での時価となります。

この場合、例えば、成功したビットコイン採掘量が1BTCで、その採掘のための利用・使用分に対応するPC減価償却費(1万円)やインターネット接続料(3千円)、電気代(2千円)だったとすると、

収益(マイニングにより取得した暗号資産)は、1BTC×@6万円=60,000円

費用(マイニングなどに要した費用)は、1万円+3千円+2千円=15,000円

となります。

これを仕訳でみると、

(仮想通貨‐BTC‐)60,000/(マイニング収益) 60,000
             

(マイニング費用)15,000/(現金預金)    5,000
              /(備品‐PC‐) 10.000

となります。
 
なお、イーサリアムなど他の仮想通貨についても同様の処理方法になります。

 

記事履歴

2017年6月3日:初稿
2021年5月26日:更新

 

■参考

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

 

 

■YouTube


www.youtube.com

 

■初心者向け

ひとり投資会社のつくり方

ひとり投資会社のつくり方

 

 

■実践者向け