イントロダクション
日本では、仮想通貨はあまり受け入れられていないようですが、少量であれば保有している会社があるかもしれません。
もし法人として保有する場合、「仮想通貨」の会計処理は一体どのようになるのでしょうか?
この記事では、仮想通貨のビットコインを題材にして考えたいと思います。
※1ビットコイン(BTC:円建て本体価格)を50,000円で購入、時価60,000円の時に売却・交換・採掘という前提にしています。
ビットコインの購入時
国内における時価(本体価格)50,000円のビットコインの購入取引
これを仕訳でみると、
(仮想通貨‐BTC‐)50,000/(現金預金)50,000
となります。
※中長期の資産運用目的であれば、貸借対照表の「投資その他の資産」の部に「投資仮想通貨(投資暗号資産)」勘定を設けて処理すればよいでしょう。
また、仮想通貨を複数(種類)所有する場合、補助科目(例えばビットコイン、BTCなど)を設定すると管理しやすいと思います。
ビットコインの売却時
国内における時価(本体価格)60,000円のビットコインの売却取引
これを仕訳でみると、
(現金預金)60,000/(仮想通貨‐BTC‐)50,000
/(仮想通貨売却益)10,000
となります。
※売却…日本円、US$等に換金
ビ ットコインと商品・サービスとの交換時
国内における本体価格60,000円のビットコインと商品・サービスとの交換取引
これを仕訳でみると、
(商品orサービス)55,556/(仮想通貨‐BTC‐)50,000
(仮払消費税等) 4,444/(仮想通貨交換益) 10,000
となります。
ビットコインを使って商品やサービスと交換できるようなので、その場合には上記の処理となります。
取得価額の計算
実際は、ビットコインを複数回購入して、その一部を売却・交換する場合が多いと思います。
その場合、ビットコインの単価計算はどうすればよいでしょうか?
法人においては、法定評価方法が移動平均法とされていますので、基本的に「移動平均法」によって算定します。なお、法定評価方法を変更(総平均法)したい場合には、変更承認申請書を提出することになります。
㊟「商品有高帳」や「有価証券台帳」みたいに「仮想通貨台帳」を備えて記帳するとよいでしょう。
ビットコインの採掘時(マイニング)
マイニングにより暗号資産を取得した場合、その取得価額に相当する金額の収益(時価)については、所得の金額の計算上益金の額に算入され、マイニングなどに要した費用については、所得の金額の計算上損金の額に算入されます。
なお、マイニングなどにより取得した暗号資産の取得価額は、暗号資産を採掘により取得した時点での時価となります。
この場合、例えば、成功したビットコイン採掘量が1BTCで、その採掘のための利用・使用分に対応するPC減価償却費(1万円)やインターネット接続料(3千円)、電気代(2千円)だったとすると、
収益(マイニングにより取得した暗号資産)は、1BTC×@6万円=60,000円
費用(マイニングなどに要した費用)は、1万円+3千円+2千円=15,000円
となります。
これを仕訳でみると、
(仮想通貨‐BTC‐)60,000/(マイニング収益) 60,000
(マイニング費用)15,000/(現金預金) 5,000
/(備品‐PC‐) 10.000
となります。
なお、イーサリアムなど他の仮想通貨についても同様の処理方法になります。
記事履歴
2017年6月3日:初稿
2021年5月26日:更新
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