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6. 暗号資産・仮想通貨の税務処理

イントロダクション

ビットコインの課税関係(税務処理)はどのようになるのでしょうか?

この記事では、個人と法人それぞれの場合の課税関係を考えたいと思います。

 

ビットコインの課税関係(個人)

通常、個人で仮想通貨取引を事業として行うことは考えられませんので、資産運用(売買)目的としての課税関係を前提に説明しています。

①所得税(雑所得・総合課税)

ビットコインの売却(又は使用)は、原則として雑所得とされ、総合課税の対象とされます。

雑所得の場合、収入金額から必要経費を差しい引いたものが所得(課税の対象)となります。

・収入すべき時期

原則として売却等をした暗号資産の引渡しがあった日の属する年分となります。
ただし、選択により、その暗号資産の売却等に関する契約をした日の属する年分とすることもできます。

・必要経費となるもの

・暗号資産の取得費
・取引手数料
・研修費(交通費や宿泊費を含む)
・新聞図書費(暗号資産取引に関するもの)
・通信費(暗号資産取引にかかった分)
・備品や消耗品費(暗号資産取引に関するもの)

②消費税(非課税)

ビットコインの取引は非課税資産の譲渡等に該当するため、消費税の課税対象となりません(平成29年7月1日改正)。

国内取引であれば消費税の非課税取引となり、国外取引であれば消費税の対象外取引となり、ともに消費税はかかりません。

③相続税・贈与税(課税財産)

相続開始時または贈与時の時価で評価されます。

暗号資産の評価方法については、評価通達に定めがないことから、評価通達5の定めに基づき、評価通達に定める評価方法に準じて評価することとなります。
この場合、活発な市場が存在する暗号資産については、活発な取引が行われることによって一定の相場が成立し、客観的な交換価値が明らかとなっていることから、外国通貨に準じて、相続人等の納税義務者が取引を行っている暗号資産交換業者が公表する課税時期における取引価格によって評価します。

※相続人からの請求により暗号資産交換業者は、「残高証明書」等を交付します。また、被相続人の準確定申告の関係から、被相続人の生前の「取引明細書」も交付します。

 

ビットコインの課税関係(法人)

①法人税(課税所得・時価評価対象)

ビットコインの売却損益は所得とされ、他の所得と同様に法人所得とされます。

また令和元年度(平成31年度)税制改正では、法人が保有する仮想通貨の取扱いについて、仮想通貨を「短期売買商品等」に該当するものとして、時価評価損益の適用対象とされました(2019年4月1日以後に終了する事業年度から時価評価が強制適用)。

そのため、決算時に仮想通貨を所有している場合、期末時価評価をすることになります。

②消費税(非課税)

ビットコインの取引は非課税資産の譲渡等に該当するため、消費税の課税対象となりません(平成29年7月1日改正)。

国内取引であれば消費税の非課税取引となり、国外取引であれば消費税の対象外取引となり、ともに消費税はかかりません。

例えば、仮想通貨の売買取引の場合、仮想通貨の交換業者が国内にあるのか、国外にあるかで消費税の課税関係が変わることになります。

例示①:価格100円のビットコインの売買取引

①国内取引として非課税となるケース
 国内の交換業者     →      法人
          ビットコインの譲渡
  100円(非)           100円(非)

②国外取引として不課税となるケース
 国外の交換業者     →      法人
          ビットコインの譲渡
  100円(不)            100円(不)

 

交換する場合の取扱いも合わせてみておきましょう。ちなみに、ビットコインと商品・サービスとの交換は、非課税資産の譲渡に該当します。

例示②:ビットコインと商品・サービスとの交換取引

国内における価格100円のビットコインと商品・サービスとの交換取引

これを仕訳でみると、

(商品 o rサービス)91 /(ビットコイン)100(非)
(仮払消費税等)     9/

また、外為法に規定する支払手段に仮想通貨が追加されたため、課税売上割合の計算上、分母(非課税売上高)に含める必要がないことから、課税売上割合にも影響しないことになりました。

なお、ビットコインの売買取引および交換取引は、仮想通貨という「支払手段の譲渡」として、消費税法上では取り扱われます。

 

参考:暗号資産の取得価額について

暗号資産の取得価額は、その取得の方法により、それぞれ次のとおりとされています。
なお、取得価額は、購入手数料など暗号資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を含む金額となります。
① 対価を支払って取得(購入)した場合
購入時に支払った対価の額
② 贈与又は遺贈により取得した場合(次の③の場合を除く)
贈与又は遺贈の時の価額(時価)
③ 死因贈与、相続又は包括(特定)遺贈により取得した場合
被相続人の死亡の時に、その被相続人が暗号資産について選択していた方法(総平均法又は移動平均法)により評価した金額(被相続人が死亡時に保有する暗号資産の評価額)
④ 暗号資産同士の交換、マイニング(採掘)により取得した場合
それぞれの取得時点の価額(時価)
⑤分裂(分岐)により新たに誕生した暗号資産を取得した場合
その新たな暗号資産の取得価額は0円です。

なお、売却した暗号資産の取得価額については、売却価額の5%相当額とすることが認められます(概算取得費)
例えば、ある暗号資産を500 万円で売却した場合において、その暗号資産の取得価額を売却価額の5%相当額である25 万円とすることが認められます。

なお、イーサリアムなど他の仮想通貨についても同様の取扱いになると考えられます。

■記事履歴

2017年6月1日:初稿
2021年5月26日:更新

 

■参考

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

 

 

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