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8. 暗号資産・仮想通貨のマイニング税務

イントロダクション

新たなブロックを生成し、その報酬として暗号資産を得る行為のことをマイニングといいます。この記事では、マイニングにより新しい暗号資産を取得した場合の税務上の取り扱いについてまとめています。

マイニングの仕組み

マイニングとは

暗号資産は、一定期間ごとにすべての取引を取引台帳(ブロックチェーン)に記録しますが、ブロックチェーンに不正なく正しい取引の実態が記録されるように、参加者(マイナー)はブロックを作成し、その検証を行っています。

マイニングの種類

マイニングには大きく分けて、個人単独で行うソロマイニングと、マイニングするための集団(組織や企業)に参加するプールマイニングとがあります。

なお、プールマイニングには、自分のパソコンで採掘を行う方法と採掘権を購入するクラウドマイニングという方法があります。

マイニングの報酬

マイニングでブロックの作成に成功すると、報酬に暗号資産がもらえます。ビットコインの場合、もらえる報酬はブロックに埋め込んだ取引の手数料と新規発行される暗号資産の2種類です。ビットコインの場合、発行上限が決まっているため、いずれビットコインは新規発行されなくなりますが、取引手数料が報酬となるため、マイニング自体は継続されるとみられています。

マイニングのコスト

マイニングを行うためには、設備(演算のためのコンピュータ)、通信環境と電力が必要で、それなりのコストがかかります。特にマイニングは電気代が非常にかかるといわれています。

 

個人がマイニングする場合

通常は雑所得(総合課税)

個人が、マイニングにより暗号資産を取得した場合、その所得は、事業所得または雑所得として総合課税の課税対象とされ、この場合、マイニングにより取得した暗号資産の取得価額に相当する金額(時価)については、所得の金額の計算上総収入金額に算入され、マイニングに要した費用については必要経費に算入されます。

総収入金額

総収入金額に算入される暗号資産の時価は、マイニングにより取得した時点での時価となります。

必要経費

マイニングに要した費用には次のものが考えられます。

・マイニングの設備費
・マイニングにかかる通信費
・マイニングにかかる電気代
・マイニングに関する図書研修費や交通費

 
事業所得になるケース

マイニングによる所得は、事業所得または雑所得になるとされますが、一般的に行われとぃるマイニング取引においては雑所得が相当と考えられます。ただし、マイニングを事業規模で反復・継続的に行い、かつ相当の資本を投下している場合には事業所得とすることも可能と考えられます。

過去の裁判例では、事業所得の判断基準として、「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずるもの」と示しており、単に雑所得より有利になるから事業所得にしたいとか、個人事業として開業届を提出すれば認められるというものではありません。

・事業として反復・継続的に取引を行い、かつ独立した意思をもって営まれている場合

・相当の資本を投下してマイニングなどを行っている場合

上記を満たす場合が事業所得として考えられるケースであり、実際にはかなり厳しい要件となっています。

 

法人がマイニングする場合

課税所得

法人がマイニングにより暗号資産を取得した場合、マイニングにより取得した暗号資産の取得価額に相当する金額(時価)については、所得の金額の計算上益金に算入され、マイニングに要した費用については損金に算入されます。

所得計算

所得計算の考え方は、個人の場合と同様です。

 

 

参考:プールマイニングにより報酬を得た場合

プールマイニングには、自分のパソコンで採掘を行う方法と採掘権を購入するクラウドマイニングという方法があります。

自分のパソコンで採掘を行う方法

マイニングに成功した場合には、プール管理者に報酬が支払われ、その報酬を計算量に応じて参加者全員で分配します。自分の計算量に見合う報酬が得られることになります。

採掘権を購入するクラウドマイニングという方法

自分でマイニングを行わずに、採掘権を購入する(マイニングファームに投資するイメージ)ことで成功報酬を得る方法です。

どちらも所得計算の考え方は、通常のマイニングの場合と基本的に同様です。受け取る報酬が確定した場合に、その時点の時価を基に所得を計算することになります。

受け取る報酬がどのタイミングで確定するのかは、申込時の契約書などでしっかりと確認します。他にも権利金など申込時に支払ったお金がある場合、その支出が必要経費になるのか、また、なる場合には、一度に経費にできるのか、何年かにわたり償却するものなのかも、申込時の契約書などから判断する必要があります。

そのため、マイニングの契約内容は、規約、約款、契約書などで確認し、把握しておきます。

 

また、イーサリアムなど他の仮想通貨の考え方も同様です。

 

■参考

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

 

 

■YouTube


www.youtube.com

 

■初心者向け

ひとり投資会社のつくり方

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