法人投資家サロン

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9. 暗号資産・仮想通貨の取引損失税務

イントロダクション

この記事では、特に、ビットコイン取引で損失が発生した場合の取り扱いについてまとめています。

 

ビットコイン取引上の損失の取り扱い

個人が損失した場合

原則は雑所得のマイナス(総合課税)

個人が、ビットコインを取引する場合の所得(利益)は、原則として総合課税の雑所得に該当します。

また、個人がビットコインを取引して損失が発生した場合も、原則として総合課税の雑所得のマイナスとなります。

 

損益通算は不可

ある所得の金額がマイナスの場合に、他の種類の所得のプラスと相殺させることを「損益通算」といいますが、損益通算の対象となる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得(ふ・じ・さん・じょう)とされています。

つまり、雑所得のマイナスは、他の種類の所得とは通算することができないことになります。

このことから、暗号資産取引の損失は雑所得に該当するため、他の種類の所得の利益と相殺させることはできません

同じ雑所得内であれば相殺可能

暗号資産取引の損失は雑所得に該当するため、他の種類の所得の利益と相殺させることはできませんが、同じ雑所得同士であれば、それぞれの利益と損失を相殺することができます。(同一所得内通算)

損失は繰り越し不可

損益通算の結果残った赤字、すなわち純損失の金額は、青色申告をしている年分の純損失に限り、翌年以降3年間の所得の金額から繰越控除を受けることができます。

したがって、損益通算の対象となっていない暗号資産取引の損失は繰り越し控除できないことになります。

また、FXや先物など先物取引の雑所得(分離課税)の損失は、確定申告することで、翌年以降3年間の所得の金額から繰越控除できますが、先物取引の雑所得(分離課税)の対象となっていない暗号資産取引の損失は繰り越し控除できないことになります。

したがって、雑所得内で暗号資産取引などの利益や損失を相殺してもなお損失が残る場合、その損失は繰り越しできず、ないものと同じことになります。

 

個人事業者が損失した場合

事業所得のマイナス(本業)

暗号資産トレードで生計を立てていると認められる場合、その所得は事業所得に区分できると考えられます。

したがって、暗号資産トレードで生じた損失は事業所得の計算上マイナスすることが可能と考えられます。

事業所得のマイナス(事業付随)

個人事業主がトレード目的ではなく、事業で使用するモノなどを購入するために暗号資産を保有し、それらを購入する際の決済手段として暗号資産を使用した場合、その所得は事業所得に区分できると考えられます。

したがって、このような取引で生じた損失は事業所得の計算上マイナスすることが可能と考えられます。

損益通算は可

ある所得の金額がマイナスの場合に、他の種類の所得のプラスと相殺させることを「損益通算」といいますが、損益通算の対象となる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得(ふ・じ・さん・じょう)とされています。

つまり、事業所得の計算上生じたマイナスは、他の種類の所得と通算することができます。

損失は繰り越し可

損益通算の結果残った赤字、すなわち純損失の金額は、青色申告をしている年分の純損失に限り、翌年以降3年間の所得の金額から繰越控除を受けることができます。

注意点

このように、暗号資産取引が雑所得か事業所得のどちらに区分されるかで損失の取り扱いが大幅に変わるため、注意が必要です。
もちろん、事業所得に区分された方が税務上は有利となります。

法人が損失した場合

損金算入

法人がビットコイン取引を行っている場合には、単純に法人の損益(法人所得)に算入することになります。

また、法人がビットコイン取引で損失を生じた場合も、単純に法人の損益(法人所得のマイナス)に算入することになります。

法人の所得は、個人のように所得をその性質によって10種類に区分することはなく、事業の所得に一本化されていますので、暗号資産取引のマイナスは他の取引の利益と相殺されます。

欠損金

また、相殺してもなお残った赤字は欠損金とよばれ、青色申告をしている年分の欠損金に限り、翌年以降10年間の所得の金額から繰越控除を受けることができます。

注意点

このように法人における暗号資産取引の損失は、個人・個人事業者と比べて、税務上は大変有利な取り扱いとなります。

また、イーサリアムなど他の仮想通貨の考え方も同様です。

 

■参考

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: ネット&ファンドビジネス編

 

 

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