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区分所有マンションの投資リターン

【準拠:平成30年4月1日現在法令等】

法人が区分所有マンションに投資する場合、どのくらいの投資リターンがあるのでしょうか?
 
投資利回りを考える際には、表面利回りと実質利回りの双方について検討する必要があります。
 
【投資利回り】
・(表面利回り)=予定年間収入÷購入価額
・(実質利回り)={予定年間収入-(固定資産税、管理費用等、修繕費用、火災保険料、借入金利子)}÷購入価額
 
※購入価額には付随費用を通常は含めていないようですが(業者表示の場合)、より正確には付随費用を含めたところで計算するのが望ましいでしょう。
 
(計算例:既出物件の場合)
・本体価額424万円
・予定年間収入48万円
・固定資産税等諸費用16万円
 
【投資利回り】
・(表面利回り):48万円÷424万円≒11.32%
・(実質利回り):(48万円-16万円)÷424万円≒7.54%
 
このように約4%もの差がでてきます。さらに購入価額に付随費用を含めたところで計算すると実質利回りは6~7%程度に落ち着くことでしょう。なお、ここでは借入金返済額は考慮しておりません。
 
また、リアルエステート(実物不動産)投資よりも上場投資商品であるリート(不動産投資信託)の方が場合によっては投資効率(効果)がよいかもしれません。リートの投資利回りは商品にもよりますが、5%前後の高いものも多く、なにより流動性が高い(換金しやすい。)からです。

また、法人所得率は、所得計算上さらに減価償却費を差し引くなどするため、年間収入比でたった数%程度にすぎません。

(法人所得率:減価償却費を考慮)
◇投資初年度の場合
採用する減価償却方法により下記のように異なります。
≪償却率:耐用年数19年の場合≫
・定率法0.105
・定額法0.053

①定率法の場合<法定償却方法>
(48万円-16万円-34万円)÷424万円≒▲0.47%→マイナスの投資リターンです。
これは初期に償却費が多めに計上されるためです。
他事業の法人所得との損益通算目的なら節税になります。
※法人の場合、減価償却費を計上するかしないか税務上は自由ですが、中小指針や中小基本要領の会計ルール上は毎期規則的にきちんと計上することが求められます。

②定額法の場合
(48万円-16万円-17.2万円)÷424万円≒3.5%*→数%程度の投資リターンに留まります。*あくまでも所得獲得率ですので、現金収支率とは異なります。
 
とは言うものの、事業リスク分散やインフレ対策の面からも不動産投資は今でも有効な手段であると考えます。

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: 太陽光&不動産ビジネス編

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