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賃貸不動産の修繕費と資本的支出の税務

【準拠:平成30年4月1日現在法令等】

アパートやマンションの経営をする場合、建物をきれいにしておかないと入居者が決まらないことが多いので、修理は必要になってきますし、キャッシュフローを良くするための修理は不可欠でもあります。

その支出した修理代は修繕費として全額費用にすることができる場合と資本的支出として資産(減価償却資産)にしなければならない場合があります。

この区分は、その修理代が支払われた目的とその金額によって区分されます。

(1)原状回復や維持管理を目的とする場合
→全額を費用に算入できます。

(2)使用可能期間の延長や価値の増加を目的とする場合
→資産(減価償却資産)として計上し、耐用年数にわたって費用化します。

(3)取得価額30万円未満の資産取得(年換算300万円まで)の場合
→中小企業者等の特例により、費用処理できます。

(4)一の修理・改良の金額が20万円未満の場合
→全額を費用に算入できます。

(5)修理・改良等がおおむね3年以内の短い周期で行われている場合
→全額を費用に算入できます。

(6)区分が明らかでない場合で、一の修理・改良の支出金額が60万円未満の場合
→全額を費用に算入できます。

(7)支出金額が、その修理・改良を行った資産の前年末における取得価額のおおむね10%以下である場合

→全額を費用に算入できます。
(例)
・当初の取得価額=2,000万円
・前年までの資本的支出=500万円
・当年に200万円の支出あり

この場合、

前年末における取得価額=2,000万円+500万円=2,500万円

支出額200万円≦2,500万円×10%=250万円

∴要件に該当するため、200万円は全額経費

※他の判定方法もありますが、ここでは省略いたします。

以上のように基本的には常識的な判断に基づいて、費用処理又は資産計上されますので、将来の修繕計画がどのような税インパクトをもたらすのかシミュレーションしながら、その実施時期と修繕規模を検討するのが望ましいといえます。 

パーソナル・ニュービジネスの運営と税務: 太陽光&不動産ビジネス編

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