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中小企業倒産防止共済制度の活用

中小企業倒産防止共済制度とは

会社が節税するにあたって、よく検討される商品が「経営セーフティ共済」(「正式名称:中小企業倒産防止共済制度」の愛称)です。会社負担の掛金が費用になる共済制度です(個人事業主も加入できます)。

節税も兼ねて、取引先の倒産に備えるため、約30万社が加入しています。
この商品は、もしものときの資金調達をサポートするもので、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。つまり、国が全額出資する機構が運営しており安心な制度といえるでしょう。

主な特色

①掛金の10倍の範囲内で最高8,000万円まで貸付を受けられます。
※貸付条件は無担保・無保証人です。

②掛金の積立限度額は800万円です。
※掛金総額が掛金月額の40倍以上に達している場合、掛金の払込みを止める(掛金の掛止め)ことができます。

③月額5,000円~200,000円の範囲(5,000円単位)で自由に選択できます。
※中途の増減額が可能です。
※掛金の前納(一括払込み)もできます。

④掛金は、法人では損金、個人では事業所得の必要経費にできます。
※個人事業の場合、事業所得以外の不動産所得等では必要経費にできません。

㊟掛金は口座振替時に経費とされますので(現金基準)、新規加入時には注意が必要です。
(例:3月期決算法人が3月に加入)
口座振替を選択した場合、翌期の初回振替時の5月に3・4・5月の3カ月分が損金とされます。
3月分は加入当期には損金となりません。
なお、この場合、掛金払込みを選択して加入すれば3月分は加入当期の損金となります。

⑤貸付は、取引先が倒産して売掛金債権等が回収困難となったときです。
※「共済金の貸付け」制度があります。

なお、共済金の貸付金を受けた場合、共済金貸付額の10分の1の掛金権利(保険料相当)は消滅します。保険料相当分の控除が掛金残高からされますので注意が必要です。

⑥取引先の倒産事由がなくても、急に資金が必要になった場合、解約手当金の範囲内で貸付が受けられます。
※「一時貸付金の貸付け」制度があります。

また、初年度は、1年分前納することで有利に活用できます。

㊟前納の考え方
例えば、3月末決算の会社が平成28年12月に1年分前納すれば、平成28年度において掛金全額が経費にされます。

しかし例えば、平成28年12月に2年分(実際は13か月以上の期間分)前納しても、平成28年度においては同年度中の期間掛金(4か月分)しか経費にされないので、上手な掛け方とはいえません。
なお、この場合には、平成29年度に12か月分、平成30年度に8か月分が充当控除されることになります。

ちなみに、加入できるのは、中小企業者で、引続き1年以上事業を行っている方です。

㊟業種により、「資本金等の額」「従業員数」の条件があります。
例えば、サービス業の場合、資本金等の額は5,000万円以下、従業員数は100人以下とされています。
※どちらかに該当すればOKです。

解約手当金の取扱い

掛金を12か月以上納付した方は、解約手当金が支給されます。
㊟12か月未満の場合は掛け捨てとなりますので、戻りはありません。

解約手当金の額は、掛金総額に所定の率(納付月数や解約事由により75%~100%)を乗じて算定されます。
※任意解約の場合、納付月数が40カ月以上(3年と4か月)で100%戻ります。

税法上、解約手当金は支給を受けた時に、法人では益金に、個人では事業所得の雑収入になります。

ちなみに、共済貸付金・一時貸付金の残高がある場合は、解約手当金からこれらの額が差し引かれて支給されます。

加入するメリットがあれば、賢く活用しましょう。

中小企業経営と節税のエッセンス: 平成30年度版

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