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印紙税(国税)について

【準拠:平成31年4月1日現在法令等】

意外と忘れやすい税金に、印紙税があります。
 
税法で定める文書(「課税文書」といいます。例えば、領収書や契約書など)の作成者に課される国税で、文書に所定の収入印紙を貼付して消印することで納付します。
 
この印紙税は、20種類の文書を課税対象としていますが、ここでは、実務でよく登場するものをみてみたいと思います。
 
なお、収入印紙を貼る必要のある文書は、あくまで原本です。写し(コピー)には貼る必要はありません。

また、税額(税率)は、印紙税額一覧表(国税庁HPに掲載)をみて確認できます。
 
① 領収書(17号の1文書)
売上代金を現金で受領する際に作成する領収証が課税文書に該当します。
受取金額が「5万円以上」の場合に課税されるもので、5万円未満の場合には非課税とされます。
比較的多めの現金受領の際には注意しなければなりません。
 
なお、課税対象となる「5万円以上」ですが、記載金額が5万円を超えていても非課税になるケースがあります。
それは、消費税額(地方消費税含む)が明確で、本体価格が5万円未満だと分かる場合です。
具体的には、
・領収金額 50,220円(うち消費税額3,720円)
・税込金額 50,220円(税抜価格46,500円)
・合計金額 50,220円(本体価格46,500円、消費税額3,720円)
のような記載方法です。
 
② 賃貸借契約書(1号の2文書)
土地の賃貸借契約書などが課税文書に該当します。
駐車場として賃貸借する場合は、アスファルトなどの施設があれば、ここでいう土地賃貸借にはならないため印紙税は不要です。
また、間違えやすいですが、建物の賃貸借も土地賃貸借でないため印紙税は不要です。
 
③ 請負契約書(2号文書)
建築物の工事請負契約書などが課税文書に該当します。
建設業を経営する場合や、建設工事を発注する場合などに課税されます。
平成26年4月1日以降、軽減税率の範囲・軽減額が拡充されています。

ただし、建設工事以外の請負は軽減されませんので注意してください。

④ 不動産譲渡契約書(1号の1文書)
不動産の売買契約書が課税文書に該当します。
不動産業を経営する場合や、自社保有の不動産を売却・購入する場合に課税されます。
②の賃貸借とは異なり、建物の譲渡であっても課税対象となります。

こちらも③と同様、軽減税率の適用があります。
 
⑤ 業務委託契約書(7号文書)
継続的な取引の基本となる契約書が課税文書に該当します。
代理店契約書などに課税されます。
一律4,000円と定められています。
 
⑥ 消費貸借契約書(1号の3文書)
金銭消費貸借契約書や借用証書などが課税文書に該当します。
 
⑦ 銀行取引約定書(7号文書)
継続的な取引の基本となる契約書に該当し、4,000円の印紙税がかかります。
 
ところで、印紙税はこうした課税文書に所定の収入印紙を貼付したうえ、消印することが求められます。
貼付しても消印していないと、次のように過怠税がかかる場合がありますので注意してください。
 
㊟ 印紙税を納付しなかったとき
課税文書の作成者が印紙税を納付しなかったときは、たとえ印紙税が課されることを知らなかったり、収入印紙を貼り忘れた場合であっても、納付しなかった印紙税の3倍(収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出たときは 1.1倍)の過怠税が課されます。

また、文書に貼り付けた収入印紙に消印をしなかったときは、その消印しなかった収入印紙の金額と同額の過怠税が課されます。

なお、過怠税は、過怠税の合計額が1,000円未満のときは1,000円に切り上げられ(最低額1,000円)、その全額が法人税の損金や所得税の必要経費に算入されませんので、ご注意ください。

ちなみに、印紙税を納付していなくても、契約書等の効力が無効になることはありません。

中小企業経営と節税のエッセンス: 平成30年度版

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