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1-6 所得税の計算方法について

所得税の基本的な計算は、次の順序で行います。

(1)から(7)の流れ(7つのステップ)で計算していくと、申告納税額が求められます。

(1) 所得金額
「収入金額」から「収入から差し引かれる金額(必要経費など)」を差し引いて、「所得金額」を求めます。

(2) 課税される所得金額(「課税所得金額」)
(1)から「所得から差し引かれる金額(所得控除のこと)」を差し引いて、「課税される所得金額」を求めます。

(3) 所得税額
(2)に「所得税の税率」を乗じて、「所得税額」を求めます。

(4) 基準所得税額
(3)から各種の税額控除を差し引いて、「基準所得税額」を求めます。

(5) 復興特別所得税額
(4)に2.1%を乗じて、「復興特別所得税額」を求めます。

(6) 年税額
(4)+(5)で、「年税額」を求めます。

(7) 申告納税額
(6)から外国税額控除や源泉徴収税額を差し引くと、「申告納税額」が求められます。

途中で復興税が上乗せされて少しややこしく感じると思いますが、上記の流れが分かれば、ゴールがみえてきます。

申告分離課税の所得や特例計算などがある場合はもっと複雑になりますが、基本的な流れとして押さえておくとよいでしょう。

<例示>所得税の計算方法

・収入金額:500万円
・必要経費:150万円
・所得控除:102.5万円
・税額控除:2万円
・源泉徴収税額:5.273万円

この例では次のようになります。
(1)所得金額
500万円-150万円=350万円
(2)課税される所得金額(「課税所得金額」)
350万円-102.5万円=247.5万円
(3)所得税額
247.5万円×10%-9.75万円=15万円
(4)基準所得税額
15万円-2.万円=13万円
(5)復興特別所得税額
13万円×2.1%=0.273万円
(6)年税額
13万円+0.273万円=13.273万円
(7)申告納税額
13.273万円-5.273万円=8万円
この場合の申告納税額は8万円となります。

用語説明

①「収入金額」・・・次のものなどをいいます。
・物品販売業の場合には、売上・雑収入など
・不動産貸付の場合には、家賃地代など
・給与所得者(サラリーマン・OLなど)の場合には、給料
・年金所得者の場合には、年金
・生命保険契約等に基づき支払いを受けた一時金
②「収入から差し引かれる金額」・・・次のものなどをいいます。
・必要経費(事業所得や不動産所得などの場合)
・給与所得控除(給与所得の場合)
・公的年金等控除(雑所得の場合)
・支払を受けた一時金に対して支払った保険料又は掛金(一時所得の場合)
③「所得から差し引かれる金額」・・・各種の所得控除をいいます。
④「課税される所得金額」・・・各種の所得控除後の所得金額をいいます。
⑤「所得税の税率」・・・課税される所得金額により5%~45%の7段階に区分されています。

似たような用語が並び混乱しそうですが、それぞれに違いがありますので注意してください。

また、よく見聞きするものに「収入基準」と「所得基準」がありますが、「収入基準」が上の「収入金額」を、「所得基準」が上の「所得金額」をベースにしています。

例示の場合、「収入基準」では500万円で、「所得基準」では350万円となります。

これらは他の社会保障制度などで採用されている考え方なので、覚えておくと役立ちます。 

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