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2-2 消費税の簡易課税制度を選択する場合

消費税の納税額の計算には特例があります。

原則として消費税の納税額は、課税売上げの消費税額(預かり税額)から課税仕入れ等の消費税額(支払済み税額)を控除して計算することになります。(本則)

ただし、本年分の課税売上高が5,000万円以下の場合には、「簡易課税制度」を選択することにより、実際の課税仕入れ等の消費税額を計算せずに、課税売上げの消費税額に一定の「みなし仕入率」を乗じた金額を課税仕入れ等の消費税額とみなして、納税額を計算できます。(特例)

※課税仕入れ等とは、消費税が課税される取引の仕入高などをいいます。

この計算は、大変簡易なものになっているため、「簡易課税制度」と呼ばれています。

参考:簡易課税制度による納税額

①課税売上高が1,000万円の場合の小売業(第2種事業:みなし仕入率80%)の納税額⇒16万円
②課税売上高が1,000万円の場合のサービス業(第5種事業:みなし仕入50%)の納税額⇒40万円
③課税売上高が1,000万円の場合の不動産業(第6種事業:みなし仕入40%)の納税額⇒48万円
※事業の内容(業種別:第1種~6種)により概算仕入率(みなし仕入率:90%~40%)が決められています。

(計算例)簡易課税

課税売上高が1,000万円/課税仕入高が400万円のサービス業(第5種事業)の場合(実際の課税仕入率40%)

①課税売上高にかかる消費税→80万円
②課税仕入高にかかる消費税→32万円
③原則課税による納税額=①-②=48万円
④簡易課税による納税額=40万円
⑤有利判定:③<④ ∴簡易課税を選択した方が有利

このように、実際の課税仕入率(40%)よりもみなし仕入率(50%)が高い場合に、簡易課税を選択した方が有利となることが分かります。

ちなみに、この制度の適用は、その年開始時において「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出済であることが条件です。

なお、平成29年分から簡易課税制度を適用して申告する場合には、平成28年12月31日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を住所地等の所轄税務署に提出しておく必要があります。㊟前もっての届出が適用条件になっていますのでご注意ください。

やさしい確定申告のミニ読本: 平成30年3月申告用

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